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エリアマーケティング 

地域性に対応のマーケティングを考える
「郷土 (パトリ」)」とは、生まれ育った地域(土地)のことである。
 ただ、それはどこか地図上に表せるものではない。あくまで内面に宿る情景として、郷土は個人とともにある。郷土を考えると何とも言えない気持ちになるのも、このためである。母の顔、食卓、通学路、友だちの家、校庭、空の色、川のにおい、言葉、繰り返し見た夢など、生まれ育つ過程の身体化された記憶が、郷土の実体である。

 このため他人が郷土を語ることはできず、本人からしか郷土は発せられない。そして相手は、目の前の本人と、発せられた文化や伝統、祖先といった郷土の情報とを対照して、本人が何者なのか知ることができる。こうして郷土は、パスポート以上に自分を証明するアイデンティティになる。
                 
 また、郷土は自分にとっても心の拠り所となる。行動様式や価値観の祖型をつくる郷土が持つ文化風土は、郷土を捨てた本人に息づき、迷いが生じたら自分自身でそれを辿って確認できる。郷土は自らのルーツであり、何かあったら戻るべき場所になる。

 近代人は郷土(土地)を出て、というより郷土を捨てて都市を目指した。そのため近代人には、「いつか郷土に帰らん」という心情がつきまとってきた。日本でも明治以降、近代化の過程で都市に出て一旗揚げるという人生ゲームが広がりをみせ、地方から東京や大阪へ大最の人が流れた。都市に彷裡える多くの地方出身者には郷土意識や郷土愛がつのり、望郷の詩人石川啄木をはじめ、多くの詩人や小説家はその心根を著した。

 ところが次第に、地方出身者の二世、三世が東京の郊外に定着し、郷土に戻らねばならないという意識が薄らぎ、郷土としての地域も一様に都市化を目指して個性を喪失していくなど、「郷土」はほとんど使われない言葉になっていった。
  『ウェブが創る新しい郷土 地域情報化のすすめ』丸田 一著 (講談社現代新書)


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(2007/01/19)
丸田 一

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