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エリアマーケティング 

地域性に対応のマーケティングを考える



 松江から日本海を北へ約60キロ沖にある隠岐諸島の中ノ島、面積約33平方キロメートルの全土が海士という町だ。そんな海士町(あまちょう)が、都会から数多くのIターン者を集めている。

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◆“コンクリートから人へ”を実現した町 海士町
 島根県隠岐郡海士町(あまちょう)は,島根半島の沖合い約60㎞の日本海に浮かぶ隠岐諸島の中ノ島からなる面積33.5km2,人口2581人(平成17年国勢調査結果速報)の町である。中ノ島は,大山隠岐国立公園に指定されるなど,豊かな海に囲まれ,また,鎌倉時代に承久の乱に敗れた後鳥羽上皇が流されて一生を終えた島として知られ,貴重な文化遺産・史跡や伝承が数多く残っている島でもある。

 この町は,1950(昭和25)年に7000人いた人口が2400人までに減少している。全人口に占める65歳以上人口の構成比を示す高齢化率は39%を越える。一方,年少人口は10%であり,高卒者の大半が島外へ流出していることから,20~30歳台の年齢層が極端に少なく,地域は活力を欠く。


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      グラフの出典:http://www.wagamachigenki.jp/saisei/02_s01.htm

 海士町の経済は,補助金と100億円を超える町の借金による公共事業で成り立っていた。それが2004(平成16)年,地方交付税の突然の大幅削減で,国の指導・監督下で再建に取り組むという財政再建団体へ転落の一歩手前という深刻な事態に陥った。
こうした状況からの脱却のため,町長山内道雄氏は,平成の大合併が進む中で,合併をしない道を選択し,「単独町制」を貫くことによる徹底した行財政改革と,新たな産業の創出による地域経済活性化という,「守り」と「攻め」の方策を打ち出した。

 「守り」の政策としては,行財政改革が真っ先に掲げられ,2004年度・2005年度の単年度の絶対削減額として,1億5千万円が目標とされた。先ず行政の内部改革を進め,民間給与との格差是正を考慮しつつ,緊急措置として人件費の削減による財政破綻を自主的に回避しようとし,町長以下助役・教育長,議会,管理職に始まり,一般の職員からも,給与の自主減額が提案・実施され,結果として,2004年度の人件費の削減効果は1億1440万円,2005年度には,自発的な報酬及び給与のカット率を更に高め,3役(町長50%,助役・教育長40%),職員(課長級30%,係長以下平均22%),議会議員及び教育委員40%,自治会長10%の削減を行い,全国最下位のラスパイレス指数72.4(2005年4月1日現在)となり,2億1450万円の削減効果を生んだ。

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「攻め」の施策では,一点突破型の産業振興策の実践である。2004年3月の「海士町自立促進プラン」では,長期戦略として,産業施策を掲げ,自然環境と地域資源を活かし,「海」,「潮風」,「塩」の3つをキーワードに,地域資源を有効に活用して,「島をまるごとブランド化」するという究極のふるさと振興を実現する為,(1) 地産・地消と交流人口の拡大を目指した戦略と(2) 全国展開(外貨獲得)を目指した大規模な付加価値商品づくり戦略を2本の柱として,島民一体となった地域活性化に向けた取組を強化することとした。







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 キーワード「海」の第一弾が「さざえカレー」の登場である。島では昔から肉の代わりに磯で獲れた「さざえ」をカレーの具としてつかっていた。これが商品にならないかということで役場が先頭に立って商品開発を進めたのである。それを「島じゃ常識・さざえカレー」として商品化した。
今では年間2万6000個も出るヒット商品となった。これまで島民には商品価値のあることすら分からなかったものが,外から見れば驚きとともに新鮮な魅力として映る,そのいい見本がこのカレーの開発である。
 第二弾は,「いわがき」のブランド化である。種苗の生産から育成,販売までの一貫生産をめざし,UターンやIターンの方々と地元漁師が協力して株式会社を設立した。
「隠岐海士のいわがき・春香」という銘柄で販売を開始した。築地市場の評価も高く,今や首都圏の大方のオイスターバーに「春香」ブランドで出荷している。2007年度には17万個ほどを出荷し,5000万円を売り上げるまでに成長した。

 第三弾は「イカ」をはじめとする豊かな水産資源である。島では新鮮な魚介類を水揚げしても,海を越えて本土の市場に届くころには鮮度が落ち価値を落としていた。そこで導入したのが磁場エネルギーを活用した冷凍新技術CAS(Cells Alive System)細胞は生きているという意味)という装置である。
CASは生の味覚と鮮度を保持したまま凍結ができ,解凍後もいっさいドリップが出ない,細胞が壊れないという画期的なシステムで,これを使って離島のハンディを克服し,付加価値の高い商品づくりに挑戦している。現在,外食チェーンを中心に百貨店,スーパー,ギフト販売など着実に販路を広げて,徐々にCAS商品の認知度も高まりつつある。
 第2のキーワードである「潮風」は,「島生まれ,島育ち,隠岐牛」のブランド化の推進である。 隠岐では,これまで放牧を中心とした和牛の繁殖経営で,仔牛の生産しか行わず,肥育まで一貫して手がける畜産農家はいなかった。そこへ地元建設会社が100%出資の子会社「(有)隠岐潮風ファーム」を立ち上げ,牧草の生産,すなわち農地が扱えるように農業特区の認定を受け,島で初めて和牛の肥育が始まった。島は年中海から潮風が吹き上げるため,島の放牧地や牧草にはミネラル分が多く,おいしい肉質に仕上がるという。
販売先は品質に厳しいといわれる東京食肉市場にしぼり,ブランド化をめざし,市場関係者から高い評価を受けるまでになっている。

 第3のキーワードは「塩」である。海士は古くから都へ海の幸を貢ぎ物として献上してきた。その進物の鮮度を保っていたのが「塩」であり,海士の食文化継承には最も必要な産物でもある。
昔ながらの釜炊きの塩づくりを復活させたいと願う住民有志の取り組みがきっかけとなり,歴史にふさわしい「海士御塩司所」という製塩施設を建設して,本格的な天然塩の生産を始めた。町内集落や女性グループの間からは,海士乃塩を使った梅干し,塩辛,干物,漬け物など島らしい商品を作る活動が始まり,島まるごとブランド化に向けた地域コミュニティーの再生に期待が集まっている。
このように大胆な行財政改革を行う一方,「海・潮風・塩」の三つをキーワードに一点突破型の産業振興を進めた結果,辺境の島にも構造改革が着実に芽吹きつつある。
2004年度から2007年度の4ヵ年間で,88人のUターン・Iターン者の雇用を創出することができ,起業を試みる若い青年も現れるなど,次代の担い手育成面にも光明を見い出している。また,Iターン者も20代から40代の世代を中心に,この4ヵ年で93世帯,167人が定住した。
 
 行財政改革をリードしてきた町長山内道雄氏は,町の経営は企業経営と同じといっていい。他力本願では出来ない。「自分たちの島は自分たちが守る」という自治の原点に立ち返り骨身を削りながら,もてる知恵と力を振りしぼり頑張るしか生きる道はない。
 町政の経営指針である「自立・挑戦・交流〜そして確かな明日へ〜」向かって,たゆまぬ努力と情熱で,ふるさとの未来を創り,理想の社会にして次世代に手渡すことが私たちの使命であり,首長である私には,「人を繋ぎ束ねる」大きな責任がある,と語っている。

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